小松廣美 学長

リカバリーカレッジたちかわは2015年の開校当時から小松廣美さんを学長に戴き、活動を行ってまいりました。小松学長の周囲の方への分け隔てない関わり、「みんなが元気になって欲しい」という熱い思いは7年たってもブレることなく、運営メンバーが変わっていく中も温かいまなざしで「ごちゃまぜ」「コトコト」を体現して下さった方でした。

2022年8月、小松学長は惜しまれつつリカバリーカレッジたちかわを一足先にご卒業されることになりましたが、今も天国から「仲間になろうよ」と見守ってくださっています。


小松学長プロフィール

小松 廣美
名誉学長

【学長就任期間2015年10月~2022年8月】1948年岩手県生まれ。中学を卒業後就職列車で上京し、町工場で働くがすぐに会社が不渡りを起こし解雇となる(これが、小松さんの一生の夢となる「中小企業を元気にしたい」になっていく)。その後、自衛隊に入隊。高校に通学しながら隊務を行っていたものの、転勤などで泣く泣く学校は中退された。自衛隊を除隊後、物流のドライバーをされていた時、運転中に突然統合失調症を発症。恐ろしい幻聴が聞こえて怖くなり慌てて交番に駆け込まれ、そのまま入院となる。以来、入退院を繰り返されて貯金を使い果たしてしまったり、お仕事や作業所を転々とされるなど、人生が大きく変わっていくこととなる。試行錯誤で苦しむ中で立川市に転居され、2006年に立川にあった居場所的な作業所「マーキー」の利用を開始。所長だった山本(もんち)との運命的な出会いを果たす。マーキーの中でも周囲のスタッフ、メンバーに分け隔てなく優しい声掛けを行い、居場所づくりに多大な貢献をされていたこともあり、2014年、マーキーの母体であるParquetグループでリカバリーカレッジ開設の機運が高まると、満場一致で学長への就任をオファーされる。だがお返事は「NO」。そこを何とかと、もんちらによる文字通り三顧の礼をもってなんとか初代学長に就いていただいた(とは言えその後3年くらいは、運営会議のたびに帰宅後、ご自身の発言を気にしまくり「俺、学長辞めるわ」と電話をしてくるのが常だった)。当初強い気持ちが先行し過ぎて学長あいさつで号泣されたりしていたものの、ゆっくりと確実に学長となっていかれた。各地域のカレッジ開設希望者がリカバリーカレッジたちかわに視察に来られるたびに勇気づけられたりされ、朴訥なキャラクターも相まって全国区の存在となる。「よく来たね~」「仲間になってよ」「俺、頑張るって言葉キライでさ」「コトコトやっていこう」など名言多数。また、学長の給与により入学されていた通信制の高校を2018年に無事ご卒業。本来の夢である「中小企業診断士になって応援したい」を胸に、学長業にも尽力される。そして2022年、惜しまれながらリカバリーカレッジたちかわを卒業されることとなった。今では天国からリカバリーカレッジの様子を見守ってくれている(はず)。

ひろみさんぽ


学生さんに向けたエール動画




修了式のコメント動画





開校に当たっての学長ご挨拶

 このたびリカバリーカレッジたちかわの学長を仰せつかりました小松廣美です。自分がそんな人の上に立つ立場になると思ってませんでしたので、学長だなんていまもまだ信じられない気持ちでいます。今でも何かあるたびに不安が出て、「本当に学長って俺でいいのかなぁ」と聞いて回っています。

 私は15歳の時、中学を卒業してすぐに岩手から東京に出てきました。仕事をするかたわら高校に通った時期もありましたが、転勤などもあって泣く泣く中退しました。もっと学びたかったし、人生を素直に歩みたかった。統合失調症を発病した時には、もう人生が終わったと思いました。学べていれば、少し違う道を選べたかも知れません。若いころにリカバリーカレッジがあったら、間違いなく入学していたと思います。

 いま私は67歳ですが、若い人には自分のような苦労を味わってほしくありません。だからこのリカバリーカレッジたちかわをいろんな人に知って、通ってほしいのです。病気だからってコンプレックスを抱くことなんかない。当事者にも専門家にも学んで元気になっていって欲しいのです。

 私は去年からこのリカバリーカレッジたちかわ学長の給料で、念願だった通信制の高校に通い始めました。45年ぶりに高校生になり、あらためて学ぶ喜びをかみしめています。日本史や英語の授業はとても楽しいです。それにこの年齢になって働けることにも、大きな喜びを感じています。いろんな人のあたたかみが身に沁みます。

 リカバリーカレッジたちかわは、まだヨチヨチ歩きの活動です。でも講師も運営委員も事務局も一所懸命やっていますから、少しずつ学生さんが目標をもっていろいろなことにチャレンジしていけるカレッジになっていくと思っています。ぜひこのリカバリーカレッジたちかわで、一緒に学ぶ喜びを味わってみませんか?

平成25年 秋
リカバリーカレッジたちかわ学長
小松廣美